yshkn’s blog

島根に長期出張中の文系卒ITエンジニアの日常

エンジニアの知的生産術を読んだ

10点中8点

 
エンジニアだけが読むのではもったいない一冊。


第1章 新しいことを学ぶには
この章では学ぶコツがいくつか解説されている。
特に面白いと思ったのは写経についてと抽象化についてだ。
写経は学習効率は悪いが何もわからないものへのとっかかりには効果的。
本物の写経とは異なり、色々と考えながら写経することがポイント(考えたことをコメントに残すとよい)。
抽象化が必要な理由は、仕事でも仕事外でも起こる出来事すべてへの対応を一問一答形式で覚えておくことなどできるはずがなく、抽象化された一般的な知識をそれぞれに当てはめて対応する必要があるからだ。
個々の知識から抽象的な知識を取り出す効果的な方法として挙げられているのが、比較することだ。
ある知識を得たときに、それと似たものを考える。
そして具体的に何が似ているのか、共通点を考える。
何が違うのか、相違点を考える。
なぜ違うのか、違っているようでいて本質は同じなのかと深堀する。
似ているものが思いつかない時の一つの作戦として過去と比較し、過去との共通点、相違点を考えるというのがある。

 

第2章 やる気を出すには
この章では集中してタスクをこなすコツが解説されている。
基本的にはGTDポモドーロテクニックを使おうというもので、テクニック自体は自分知っていたのであまり目新しさはなかったが、タスクの優先順の考え方や、何よりも計測が重要ということが学びになった。
GTDポモドーロテクニックポッドキャストのrebuildの過去回でも詳しく話されていて、個人的にはポッドキャストのほうが記憶に残るのでリンクしておく。

Productivity Extremist (higepon)

 

第3章 記憶を鍛えるには
この章は特にためになった。
Ankiという暗記を効率的に行うソフトウェアがあり、私も存在は知っていたが、どのように使えばいいかいまいちわからず、やらずじまいになっていた。
この章では問題をできるだけ細かくわけるとよい、文章の穴埋め問題も効果的だ、ということを学び、活用するイメージが湧いた。

この章で紹介されている知識を構造化する20のルールの日本語訳を見つけたので下記にリンクする。
効果的な学習法: 知識を定式化する20個のルール (目次)

 

第4章 効率的に読むには
この章では、読むことにフォーカスして、効率的な方法を模索する。
効率的な読書と聞くと真っ先に頭に浮かぶのは速読だ、本書でももちろん言及されていて、速読の方法についても2つほど述べられている。しかし、当然ながら速度を上げると理解度は低下するので、必ずしも、効率的ではないと語られている。重要なのは読む目的やその本の周辺知識の自分の理解レベルに合わせて読む速度を変えることだ。ピンポイントで何かを知りたければ、目次を読んでその箇所だけ探して読めばいい。難しい哲学書を自分のものにしたければ、写経をしたり何度も何度も繰り返し読んだりする必要がある。

 

第5章 考えをまとめるには
この章では「発想法」で有名な川喜多二郎のKJ法を著者が自分流にアレンジを加えたものが具体例豊富に解説されている。
・レポートや企画書、プレゼンについて書きたいことを大きめの付箋100枚を目標にとにかく書き出していく
 あまり考えすぎずにどんどん書いていくことが重要。
・書き出した付箋を一覧し、関係のありそうなグループに分けていき、それぞれに表札をつくる
 既存のジャンル分けや階層的なグループ分けにせず、直感的に関係のありそうなものをグループにしていく。
・それらのグループを配置し、それぞれのグループの関係性を追記していく。グループ内の各付箋についても配置と関係を追記する
・文章化する

 

一回やって満足せず、繰り返すことが重要。

 

第6章 アイデアを思いつくには
イデアを思いつくをもう少し言い換えると、自分が、世間が、いままで考えていないことを考え出すことである。
非常に難しく、定型化もできない。
ただし、全く効率的な方法がないわけではなく、ここではいくつかのヒントが紹介されている。
ある関心領域に関して、どんどんと言語化していき、今まで言語化してこなかったものを言語化する。
そのために色々と本質的な質問をしてみたり、抽象的なイメージを絵にかいてみたり、似ているものに例えて分析してみたり、他者の視点を借りたりする。
今の常識から抜け出す、違和感を見つけ、深掘りし、新しい考えを見つけ出す。

 

第7章 何を学ぶか決めるには
何かを学び、卓越していくにはどうしたら良いかが語られる。
他人から学ぶのは自分一人で学ぶより、効率が良い、そのため他人から学ぶことを意識すると良い。
ただし、それだけだと価値は少ない。
誰か同僚が知っていることを自分も学んだとしても、その人の劣化でしかない。
例え全体の知識量では負けていたとしても、ほかの同僚が知らないことを知っていれば、その領域では自分が一番となる。
おすすめされているのが、なにかをある程度極める、そののち別の何かをある程度極める、そうすると一つでは一番でなくても、その二つをわかるのは自分だけという状況が作りやすく、価値が生まれる。
連続的に、何かを専門的に学ぶことが薦められている。

 

知的作業の様々なことを扱っており、脳科学などにもふれられているため、少し深掘りが足りないところもあるが、著者の試行錯誤の結果が分かりやすくまとめられている読む価値のある一冊だと思う。

おすすめのITエンジニアリング系ポッドキャスト

以前、オーディオコンテンツのすすめという記事を書いた。
多少聴いているものは変わっているが今でも続いている。
前回の記事のころでも紹介できていないポッドキャストは多数あったが、ここ2年ほどでまた増えている。
また、長くやっているものについてはエピソードが多すぎる問題が起きており、どれから聞き始めればいいかわからない状態になっている。
本当は、徐々にコンテクストが形成されていくので、最初のエピソードから聴くのがいいと個人的には思っているが、一方で、話題が古すぎたり、初期のころは音声のクオリティが悪い等あるので1から聴くのはきつい場合もある。
あくまで自分が聴いて記憶に残っているものだけだが、改めておすすめのポッドキャストをエピソード単位で紹介する。

 

 

Turing Completee FM

turingcomplete.fm
@rui314 さんが配信しているポッドキャスト
残念ながら2018年の10月で更新が途絶えてしまっている。
しかし、毎回コンピュータサイエンスや言語開発等低レイヤー系のガチ勢をゲストに熱い技術トークが繰り広げられる本ポッドキャストはプログラミングに関心のある人みんなに聴いてもらいたい。
下記に特にインパクトのあった3つのエピソードを紹介する。

 

少年時代にPCを(本当の意味で)自作した話
学生時代お金がなくて本当に一からPCを自作した話が18分ごろから始まるが、非常に興味深い。そういった経験が血肉になるのだなと感心した。

 

30日OS自作入門本を読んでOS自作、コンピュータサイエンスと大学、インターンシップ
小学生のころに自作OS入門本を読んで作って以来ずっと低レイヤプログラミングを学び続けているパワフルな学生がゲスト。刺激を受ける。

 

CERNでのソフトウェアエンジニアリング
スイスのCERN(欧州原子核研究機構)で働く学生の話。これもまた興味深い。

 

 

Misreading Chat

misreading.chat@omo2009 さんと@jmuk さんの二人で配信しているポッドキャスト
毎週お互いがコンピュータサイエンスの論文を読んできて、内容を解説するポッドキャスト。これをストイックに続けていること自体に非常に刺激を受ける。
ちなみに20エピソードごとにひと月ほどのお休みがある。
機械学習Androidが多めだが、幅広く論文を読んでいるので、一覧を見て気になったものを聴くといいと思う。
結構ガチ目で難しい回が多いので、聴きやすい回をピックアップする。

 

New Grads Struggle / Data Scientists Strive
新入社員が職場に慣れて活躍するまでの苦労について調べた論文を読む回。あるあるネタがあり聴きやすい。

 

Episode 40
40のキリ番回で最近読んだ本を解説する回。

 

Do Developers Learn New Tools On The Toilet?
トイレにプログラミング関連のTIPSを張っておくのは効果があるかを研究した論文を解説している回。そもそもGoogle等がそんな試みをしていることを初めて知った。

 

 

ajitofm

ajito.fm基本VOYAGE GROUPの社内バーで録音しているらしいポッドキャスト
話題が多彩でおもしろいが、結構出演者が多くて話がごちゃっとなりがちな気がする。個人的にはポッドキャストは1~3人でのエピソードが聴きやすい。


How to Moderate a Panel
@t_wada さんがゲストでパネルディスカッションをどのように運営したら良くなるかについて話している。
色々な工夫があって面白い。

 

ここからはポッドキャスト自体は前回の記事で紹介したものになる。


Rebuild

rebuild.fm

最近更新頻度が高くなってきてうれしい。


Your Blog Can Be Generated By Neural Networks (omo)
達人プログラマーディスる回として一部で神回と言われている回。
Misreading Chat の@omo2009 さんのエモが感じられる熱い回。

 

The Next Generation Of HTTP (kazuho)
@kazuho さんの初ゲスト回。
webサーバ H2Oの裏側や、HTTP2の良いとこ悪いとこを話している回。
これ以降の@kazuho さんゲスト回も全部面白い。

 

Angry Jenkins Angers Me (kohsuke)
Jenkinsの作者、@kohsukekawa さんがゲストの回。
Jenkinsを作成した背景を細かく語っている。

 

 

yatteiki.fm

yatteiki.fm

@itopoid さんがVtuberになってしまったからか更新が途絶えてしまった。

 

挫折マンのためのやっていき
この回の後半でいろいろなことに手を出しては挫折してあきらめてしまうありがちな状況からどうやって抜け出すかを語っていて、エモくて最高だ。何回も聞き返している。

 

ほかにもあるが、今回はこれまで。

 

多くの人は知っていると思うが、ポッドキャストを聴くならスマホのアプリで聴くのがおすすめ。

ios androidともにOS純正とサードパティのポッドキャストアプリがあるので色々試してみるといいだろう。

論理ガールを読んだ

10点中8点 

論理ガール 〜Lonely Girl〜 人生がときめく数学的思考のモノガタリ

論理ガール 〜Lonely Girl〜 人生がときめく数学的思考のモノガタリ

 

社畜が加速していることもあり少し読書がしんどくなっていて、物語仕立ての本を読むことが増えている。

ただ、私が読んだ本はどれも読みやすさと学べるもののバランスが良いものばかりでよかった。

本書もまさにその一冊だ。

 

 

人づきあいが得意でいわゆるコミュ強で今はホテルマンとしてバリバリ活躍している主人公に母校の高校での講演の依頼がくる。

持ち前のコミュニケーション力をいかし上々の講演を行い、校長先生からもほめられ、LINE交換の生徒の列ができる。

そのあと母校を歩いているいると一人の女子生徒に話しかけられる。「間違ったことを教えないで...」

突然失礼なことを言われ驚きながらも、流そうとする主人公に執拗に否定してくる女子生徒。

いい加減イラっとして反論を試みるも、講演の最初に話した「友達は多いほうがいい」という話を数学的モデルとやらを使い説明され、反論しきれずに論破されてしまう。

主人公は嫌悪感を覚えつつも、その話を面白いと思ってしまい、そこからほかの話についても彼女の見解を聞いていく...

 

 

というような導入から始まる話だ。

ブコメのテンプレのような第一印象が最悪の出会いから徐々に親しくなっていく感じで進んでいく。

 

本書のタイトルを見て数学ガールの二番煎じかなにかかと思ったが、結構amazonのレビューの評判が良く読んでみたが、確かによかった。

 

確かに数学の天才女子高生というような立ち位置はミルカさんと似ているが、扱っているテーマが日常生活の人々の悩みに近いような「友達は多ければ多いほうがいいのか」や「仕事の喜びとはなにか」や「恋愛にどんな価値があるのか」といったテーマを扱っていること、そして彼女も彼女なりに色々悩みがありそれが見え隠れするところが大きく異なるところだろう。

 

友達がテーマの話では"好きなこと"が共通する人々の中心にいることが理想的だと数学的モデルから導出しているがさすがにそれは単純化しすぎだと思った。

それでも全くおかしいわけではないし、他のテーマのモデルはかなり納得できるものも多かった。

あとは「論理的」が口癖の生意気な天才数学女子高生が不器用な悩みに悩んだりしているそのキャラクターが単純に好きになってしまい物語にもひきこまれた。

 

冒頭にも書いたが、物語仕立てで読みやすく、しかし色々と考えさせられ、日常の問題を数学的モデル化する実例を学べる非常に良い本だと思った。

できれば続編が読みたい... 

 

 

 

他に最近(といっても一年以上前のもあるが)読んだ物語調の良書も下記に紹介しておく。一冊ごとに記事を書くつもりだが、今のペースだと書ききるのに相当時間がかかってしまうので簡単に紹介する。

 

数学ガールの秘密ノート/行列が描くもの

理系でない私には馴染みの浅い行列がテーマの数学ガールの新作。

秘密ノートシリーズは通常の数学ガールよりもかなり難易度が低いのでもし数学ガールの一冊目や二冊目で挫折してしまった人がいたとしても再チャレンジする価値はあると思う。

さすがの数学ガールといった感じで、数学が得意だったり、ずっと勉強している人なら簡単にわかることでも多くの初心者にはピンとこないようなものも理解するプロセスそのものを上手く描写してくれているおかげでほとんどの話が納得できた。

ただその行列を応用して具体的に何ができるかといったことはほとんど語られない。

参考文献が挙げてあるのでそれらに譲る形だろうか。

 

おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密 (しごとのわ)

男子高校生の主人公と謎の臨時講師の先生、そして町では有名な大きな不動産とパチンコと金貸しを経営しているお嬢様女子高生が仕事や投資といったおカネにまつわる話を学んでいくお話。

自分の家の仕事に強い嫌悪感を持っている女子生徒を中心に結構重たい話もありながら、これまたわかりやすく、そしてストーリーも普通に良く展開していく。

個人的には話の中で、見えざる手の話が仰々しくでてくるのが、せっかくストーリーの中でお金について深く考えていってる中でそこだけありものの知識を並べているように見えてちょっと浮いているように感じた。

まあ曲がりなりにも経済学部を出ているのでなんども聞いた話をわざわざされたのが鼻についただけかもしれない。

それ以外は色々と考えさせられてやはりいい本だった。

 

作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~

作詞少女~詞をなめてた私が知った8つの技術と勇気の話~

どちらの本も、冴えないけど作詞/作曲に興味のある女子高生の主人公が実は同じ学校にいた天才女子高生作詞家/作曲家に教えてもらいながら学んでいく話。

この二冊は特に好きなので一つの記事としてブログに書くためにあまり詳しく触れないが、著者の仰木日向先生は作詞、作曲に限らず若きクリエイターの試行錯誤をエモく書き上げる天才じゃないかと思っている。

作詞、作曲に興味がなくても何か作品を作っていたり、クリエイターにあこがれている人には是非読んでもらいたい二冊。

最近新作の トークバック 1 という小説を出していてそれも今読んでいる。

 

コンピュータ、どうやってつくったんですか?:はじめて学ぶ、コンピュータの歴史としくみ 

他に挙げた本にも増して読みやすさを意識し、平易な言葉と図解、そして妖精が色々と初歩的な疑問を投げかけそれにこたえる形で理解を促している。

しかし解説している内容自体はなかなか高度で、用語はあまり出てこず、簡略化しているとはいえ、コンピュータが、プログラムがどのように動いているのかをひと通りイメージできるよう解説している。

私は川添愛先生の本はこれが初めてだったが、他の作品も評価が高く是非読もうと思っている。

中動態の世界を読んだ

10点中9点。

中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)
 

本書の第一章では「私が何ごとかをなす」という表現について考察されている。

私が歩く。と表現するとき、私は歩こうという意思を持って歩くという行為を行っているように思える。

しかし、そう単純な話ではないと著者は言う。

体には200以上の骨、100以上の関節、400の骨格筋がある。

それらが精密な連係プレーを行うことによって歩くことができる。

私はその一つ一つを意志によって動かしているわけではない

あそことあそこの関節を同時に曲げつつその0.5秒後にあの関節を伸ばしてといったことを私がずっと意識して歩いているわけではない。

どのようにして起こっているのかわからないことに対して自分の意志によってなしているという表現はしっくりこない。

それよりは「私のもとで歩行が実現されている」という表現のほうが実態に即しているのではないか。

私は歩くという表現は能動態に属する。

しかし、先ほど見たように能動とは言い切れなかった。

能動態でないのであれば対する受動態なのか。

私が歩くという表現は私は歩かされているという表現に変えればよいのか。

明らかにおかしい。

ここで私たちは途方に暮れてしまう。

なぜなら私たちは態は能動態と受動態しかないと学んできたからだ。

しかしここでフランスの言語学者、エミール・バンヴェニストの研究が紹介される。

『実は多くの言語では能動態と受動態という区別を知らない。

それどころか、この区別を根底に置いているように思われるインド=ヨーロッパ語族の諸言語においても、かなり後世になってから出現した新しい文法規則である。

かつては能動態とも受動態とも異なる「中動態」という態が存在し、能動態と中動態が対立していた。』と。

思考の根底にある言語の文法規則の非常に大きな分類が、別の可能性があり、実際にかつては異なる分類であったというのは驚くべき事実であり、実に興味深い。

二章以降様々な研究を引用しその詳細へといざなってくれる。

 

中動態とはどういったものなのか。

それはどういう変遷をたどり、そして姿を消したのか。

言語学的内容が詳細に考察されており非常に面白い。

しかしそれだけではなく、本書の根底に流れるテーマは意志とは何か、自由とは何かという問題を考察することにある。

そして自由というものに対して一定の解答も提出されている。

それらができるだけ平易に一から積み上げるように書かれており、単純に読んでいてめちゃくちゃ面白い一冊だった。

言葉が鍛えられる場所を読んだ

10点中8点

言葉が鍛えられる場所

言葉が鍛えられる場所

 

 著者は平川克己さん。

僕は一時期内田樹さんにはまっていて、色々と読み漁っていて内田さんと仲の良い平川さんのことも知っていたが、著書を読むのは初めてだ。
内田さんは政治関係の発信が増えてきてその内容にあまり賛同できず距離を置くようになった。
ただ過去の著書には色々と含蓄のある意見も多いと思う。
政治的内容の少ない著書ならまた読みたい。

 

本書は詩をメインテーマに置いたエッセイ集である。
石原吉郎黒田喜夫鮎川信夫吉本隆明谷川俊太郎、清水哲夫、吉野弘小池昌代ら近現代の詩人の詩を引用しつつ思索した18のエッセイをまとめたものだ。
正直本書についてはあまり解説ができない。
普段詩を読まず、取り上げられている詩人もほぼ全員知らなかったこともあり、あまり吸収できていないからだ。
ただ、安倍政権を批判している箇所がところどころでてきてウッとなりつつも、何度も読み返したいと思う本である。
シベリア抑留者で帰還後も不遇を受けた石原吉郎の絶望から生まれた詩とリービ英雄の詩を知れただけで僕の一回目の通読の価値は十分だと感じる。
詩の歴史の解説書ではないので体系だった知識は手に入らないが、その時々に引っ掛かり見つけ出せるような良いエッセイ集だと思う。

クラウドファンディングでラジオHintを買ったので雑レビュー

Hintの概要については下記参照。

www.yoppy.tokyo

田舎なので届くのがほかの人より遅かったようだ。
すでにいくつかのレビューがあがっている。
それに僕は初クラウドファンディングだし、ラジオにも全く詳しくないので公正なレビューが書けるとも思えない。
ただ、僕は常々インターネットの情報が少なすぎると思っている。
一般的にはネット社会になって情報が飽和している、検索したらなんでも見つかるというのが主流な考えだ。
しかし、すこしニッチな話になると全くヒットしないとか、一つ二つあるが、自分が欲しい情報とは少しずれているといったことが多すぎる。
スパムや悪質なコピペキュレーションやデマなんかはもちろんだめだが、それ以外は内容が薄かろうが、主観的過ぎようがもっともっともっと情報発信が活発的になってくれと常に願っている。
その割には自分のブログの更新頻度が少なすぎるが.......
自分は発信するのは得意ではないのだができるだけたくさん発信していきたい。
ということで内容が薄いことの言い訳はこのくらいにしてレビューに入っていきたい。

そもそもどういうきっかけでHintを知ったかというと以前からこのプロジェクトの発起人、日本放送アナウンサー、吉田尚記さんをtwitterでフォローしていたのでそこで知った。
その時は特に興味はなかったのだが、以前ブログで紹介した、backspace.fmというpodcastに吉田さんが登場し、そこでHintの宣伝を熱く熱く語っていた。

github.com

別に、売りにされているBLEビーコンなどはどうでもよかったが、オーディオコンテンツっていいなとは思っていたし、元からbluetoothスピーカーはちょっとほしかったし、かっこよくて最高のラジオを作るという話に説得されCAMPFIREでノーマルのHintを支援した。

そこからが結構つらかった。
冒頭にも書いたようにクラウドファンディングは初めてなので、これが普通かもしれないし、平均的なクラウドファンディングより大分ましなのかもしれないが、最初の3月末から5月へ、さらに7/20へと二度の延期があった。
延期自体は僕もしょうがないとは思うし、そこまで気にしていない。
しかし、その連絡が両方ともすごいぎりぎりなのがつらかった。
そもそも進捗は随時報告する、みたいな話だったはずなのに10月~11月くらいで報告は途絶え、3月発送予定という当初の予定的にそろそろなにかあるかな、という2月になってもなにもなく、3月10日になって急に4~5月へ延期するという連絡がきた。
それでがっくりしつつ待っていて、5月なっても音沙汰なく5月19日になって再度、7月20日に延期する連絡が入った。
さすがにまずいと思ったのかそれ以降は進捗報告ということでちょこちょこ連絡が来るようになった。
しかし、連絡の内容は工場の写真と7月20日に間に合うように頑張ってます!ということのみで、具体的に今の状況だといつになるという進捗情報はなかった。
7月20日になるまで具体的な情報は出てこずこれはまた延期かと思った当日に発送開始したとtwitterといくつかのサイトで発表された。
しかし、今までの連絡手段だったCAMPFIREでは一切連絡がなく、自分のがいつ配送されたのか、そもそもちゃんと配送されているのかもわからない状態だった。
そしてその状態のままtwitterを検索すると21日ごろから到着報告が上がっていった。
しかし、自分のは23日の夜に家に帰って不在票が入っているのを確認するまで状況がわからなかった。
進捗報告と最後の発送の体験があまりユーザーを考えられていないと感じた。

f:id:yshkn:20170724225851j:plain

箱等は流石にこだわりを感じる。

 

そしてうちに来るまでの間に先に到着している人のtweetでたくさん報告されていたのが電波感度が悪いという話だ。
Hintには付属の外部アンテナが同梱されており、制作側の弁では、単体の感度にも十分の自信を持っているが特別環境が悪いケースでも受信できるようにたくさん支援してもらえたおかげでおまけで外部アンテナを付属させた、というような話だが、うちではいくつかの窓際に持っていっても一切単体では電波が入らない。
今の家はなかなかの田舎なので仕方のない部分もあるかもしれないが、twitterを見る限りかなりの人が同じ状況のようだ。
外部アンテナの差込口にカバーを外してちゃちな付属アンテナを差すと結構不格好だ。
とってつけた感が大きい。
正直に内蔵アンテナだと不安があるので外部アンテナを付属すると言わないところがイラっとさせる。

f:id:yshkn:20170724225826j:plain

 

あとは電源が面倒くさい。
最初に頭を押すと電源が入り、それ以降は、押すとBluetoothとラジオを切り替える。
頭を3秒間押さえると電源が切れる。
持ち運びもできるみたいな話だったと記憶しているが、カバンに入れて持ち運ぶとちょっとした振動で電源が入り、切るのは取り出さないとほぼ不可能だ。
持ち運びじゃなくても切るのがめんどくさい。

悪い面ばかり挙げてきたが勿論いい面もある。

音は十分に良いと思う。
といっても感動するほどでもないが。

デザインもオリジナリティがあると思うし悪くはないと思う。

多分もっとコスパや機能性が良いラジオはいくらでもあると思うが、高いといっても2万円なのでそんなに不満があるわけではない。
出荷待ちの体験がクソだったが、初めてのクラウドファンディングを体験できたし、到着した今なら許せる。

ただ、9月から一般販売するそうだが、本当にただの製品として他と比較してこれを選択する理由は相当限られたケースでしかない気がする。
デザインが最高に気に入ったとか、BLEビーコンがどうしても使いたいとか、単純に吉田さんを応援したいとかそういう理由以外でこれを選ぶ理由はないのではないか。

少なくとも電波感度がまともにならないとお話にならないと思う。

正直現時点でおすすめ度は5点中0.5点です。

 

 

yshkn.hatenablog.com

 

yshkn.hatenablog.com

翻訳型勉強法と疑似ネイティブ型勉強法

カフェで隣の席の看護?学生の話が聞こえていた。
教科書?の文章を暗記すべく、一人が一部を読み上げもう一人が続きを答えている。
聞いた感じでは専門用語の羅列、まるでお経のようにただただ文章をそのまま空で読み上げられるようにしているだけのようだ。
学生としては非常によくある風景であり、僕ももちろん通った道だ。
だめとかいいとかいう話ではない。


ただ聞いていて違和感を覚えた。
おそらく医療系の話題だから扱っている物自体はなじみ深い内容なのにそれが意味する内容を意識されていないような、文字の羅列のように聞こえたからではないか。

 

僕のこれまでのやり方としてはそういうのは否定し、自分のなじみ深い言葉に置き換えて中身の想像を働かせた方が記憶が定着しやすいので良いというやり方だ。

 

一方で知識をつける(暗記する)のは会話等早い返しが必要な場合に非常に効くので重要だという考えも結構前から持つようになった。
しかも、最近読んだ勉強の哲学の言葉を大事にして今までと異なる世界に深く潜り込むということにもそのまま暗記する方が効果的かもしれない気もする。
ただ、言葉に、特にその違いに注目するというのはそのまま暗記するということを意味するとも思わない。

 

二つのやり方の違いは、日本の従来の英語教育と、それを批判する人の対案の一つとの対比に似ている。
日本語で言うと何と言うのか、日本語のこれは英語では何というのかその翻訳力とでも表現できそうな能力を磨くことに注力する従来の英語教育法。
それでは速度が求められる会話力の向上に効率が悪いし、ネイティブのもつ細やかな語感も身につかずいつまでも自然な英語が使えるようにならない。
そうではなく赤ちゃんが一から覚えるようにただひたすらに英語漬けにして、すべてを英語で考え使用するようになる方が、マスターには早いのだという方法。

 

元の医療系の勉強の話に戻ると、後者の方法を突き詰めた場合、医療の専門用語しか話せない専門バカ・・・にはさすがにならないだろうが、普段の生活と医療関係の文脈で言葉が全く異なり、医療の話を非専門の人にわかりやすく説明するのは不得手になるだろう。
逆に前者を突き詰めると、これはそんなに単純ではないだろうが、前者の人に比べると専門性では劣る傾向にあるのではないだろうか。
一長一短というところか。
ただ、勉強の哲学の記事でも書いたが、イノベーションのほとんどは、別の世界のものを流用することによって生まれている。その点では翻訳型、従来の英語教育型のほうが有利だと思われる。
また、ある程度のところまでの能力を手に入れる、英語で言うとある程度読めるまでにすることにおいても翻訳型ですでに持っている日本語の知識を使ったほうが効率的だというのが大方の見方だろう。

 

僕の人生設計としてはすでに一つの専門分野でトップになるのはあきらめている。ジェネラリスト的にこれとこれとこれをある程度すべてできる人はあまりいない、というようにいくつかのスキルを掛け合わせてそれなりのニーズを持つ人になりたいという戦略だ。
それを考えるとやはり僕は翻訳型でいいんだと思う。
しかし誰もが翻訳型がいいわけではない。
この分野でトップランナーになることだけを目指しているという情熱を持った人は疑似ネイティブ型勉強法のほうが適しているのだろう。