yshkn’s blog

島根に長期出張中の文系卒ITエンジニアの日常

2019年の振り返りと2020年

なかなか更新できていない。

 

前回の記事は著者ご本人にリーチし、少し拡散していただき、一時的にPVが伸びた。

しかし、それで伸びるのは瞬間的なもので、3日も経つと元に戻ってしまう。

継続的に伸ばすには、継続的に見てくださる方を増やす必要があるが、更新の頻度が高くないと中々そういう気になってもらえない。

 

そもそも記事の品質が低いという一番の理由があるのだけど。。。

 

別にブログだけで暮らしていこうなどとは考えていないが、ドメイン代とはてなブログpro会費くらいは稼げるようにはなりたいなと考えている。

 

書くのが遅すぎるし、書こうとする頻度が少なすぎる。

書評にこだわりすぎているし、読んだ本をすべて書評にしているわけでもない。

今後は気になったことを調べてまとめる系の記事も書いていきたい。

 

2019年に投降した記事は8本だった。

 

2020年は最低でも15本は書くことを目標にする。

少ないが、最低目標を着実に増やしていきたい。

 

読書に関しても、積読が増えすぎていて、読みかけで放置することもかなり多い。

少なければこれでもあまり問題ではないが、多すぎて収拾がつかなくなっているので一旦読了する冊数を増やしたい。

 


・・・・・

といったことをちゃんと1月上旬くらいに書きかけていたのになぜか気付けば6月になっている。。。。

意味が分からない。。。。。

内容が薄すぎるがこれからちゃんと書いていくぞという思いを込めて投稿する。

「カフェパウゼで法学を」と学生時代を振り返って思うこと

10点中9点

カフェパウゼで法学を―対話で見つける〈学び方〉

カフェパウゼで法学を―対話で見つける〈学び方〉

 

法学部での学校生活や勉学について気を付けるべきポイントを法学部の学部生3人が、先生に相談し、教えてもらうという形式の本だ。

私は法学部出身ではないので、あまり下手なことは言えないが、入学時に必修科目の教科書と一緒に買うべき本、それくらいの良書だと思った。

 

また、半分以上はほかの学部の学生も十分に参考になる内容なので是非とも読んでほしい。

 

まず素晴らしいのが、本の構成が非常に読みやすく作りこまれていることだ。
章の最初に親しみやすく章の内容も表したイラストがあり、すっと読み進めやすい会話文と通常の解説文が織り交ぜられている。

たくさんの注釈がすぐ下に配置されており、章のまとめや図もあり、至れり尽くせりといった感じだ。
それなりに本を読んできたつもりだが、これほど読みやすさにこだわった構成の本は他に記憶がない。

新書や文庫などでは難しいだろうが、ビジネス本等では取り入れてもらいたい。

 

そして、本書の1部、2部ではどのようにして効果的に学ぶかというテーマで書かれているが、非常に重要なことを簡潔にわかりやすく書かれており、法学部以外の学生はおろか、社会人にも十分に役立つ内容になっている。
高校までの主に正解を覚えるような勉強との違いや、レポート、ディベートを行う際のポイントやタスク管理の基本までわかりやすくまとめられており、その部分だけでも十分元が取れると思う。

 

それ以降は法学部の専門科目の考え方や、法学部での卒論をどのように書くかなど、法学部生以外はそのまま利用できる内容は減っていくが、他の学部でも似たような悩みを持つことはよくあるだろう内容が取り上げられており、考えるヒントになるだろう。

 

上述の通り、社会人にも十分有用な良書ではあるのだが、やはりメインターゲットは大学生となっている。


自分を翻ってみると、なんだかんだ大学を卒業して、5年ほど経っており、学生時代こうしておけばよかったとタイムマシンに乗ってアドバイスしてやりたいことが多数ある。
本当に個人的なことは置いておいても、いくつか生活内容や考え方についてアドバイスがしたく、それは今本当に学生になっている人にも、もしかしたら有用かもしれないので、併せて書いておきたい。

 

一番初めに伝えたいのが、読書猿ブログをしっかり読めということだ。(なんと「カフェパウゼで法学を」でも紹介されている!)
確か私は3年生くらいのときに存在は知ってパラパラ数記事読んでまあまあ面白いな、といった感想を持ちつつもそれっきりだった気がする。

当時その程度にしか思えなかったのにも何らかの理由はあるとは思うが、今非常に感銘を受けて、記事や著書を読み漁っている自分がいるので、もう少し何かフックがあれば、同じようにできる可能性はあると思う。
学生諸君に読書猿ブログの何が良いか私の言葉で語ることにも意味はあると思うが、今回は「とにかく10記事から20記事程度読んでみろ。きっともっと読みたくなるはずだから。一度でダメなら期間をあけてチャレンジしろ」とだけ言っておきたい。

 

次に「耳からの学習もなかなかいいぞ」ということで以前書いた二つの記事を挙げておく。

私が今聴いているのは大体がtech系podcastだが、英語学習や、歴史、科学についてもポッドキャストやオーディオブックでいろいろとコンテンツはあるので色々と聴いてみると良い。
上記記事に付け加えると、tech系で最近聴き始めてよかったのがプログラム雑談だ、omoさんに近い感じのプログラミング関係エモ話がちょくちょく聞けるいいpodcastだと思う。

また、この記事を書いている途中に「カフェパウゼで法学を」の著者、横田明美さんがpodcastを始めたのを知ったのでリンクしておく。

ぱうぜトーク • A podcast on Anchor

 

 

あと、よく言われることだが、学生と社会人では金銭感覚が変わるというのは非常に感じることだ。

もちろん様々な境遇の人がいるので一概には言えないことだが、なんとか定職につければ、2年目以降くらいからは気にせずとも貯金が貯まっていく人が自分や自分の周りではほとんどなので、100万、200万程度なら3年、4年もあれば返せる。

学生時代に金銭面で踏み出せないことがあっても、今のを思い出し、親に借りたり、奨学金を借りたりするのは悪くない選択肢だと自分は思う。

 

 

大学生時代の自分に読ませたい本(当時なかったのも含めて)を厳選して挙げておきたい。

横田明美『カフェパウゼで法学を―対話で見つける〈学び方〉』

上述通り。

 

千葉雅也『勉強の哲学 来たるべきバカのために』

紹介済み

 

アーリック・ボーザー『Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』

まだ紹介できていないが、科学的に効率の良い勉強法本の決定版。独学大全が出るまでは独学者はこれを読み込もう。

 

仰木日向『作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~』

言及したことはあるが、作曲に限らず、クリエイティブなチャレンジをしてみようと思える良いライトノベル

 

瀧本哲史『ミライの授業』

中学生くらいからでも読めるが大人でも非常に刺激になる未来を考えるための良書。

 

メアリアン・ウルフ『プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?』

紹介済み

 

永井均『翔太と猫のインサイトの夏休み―哲学的諸問題へのいざない』

本当に哲学をするとは何かを体感できる。

 

野矢茂樹『大人のための国語ゼミ』

正しい読解力、文章力を鍛える本の決定版。

 

スティーヴン・レヴィット, スティーヴン・ダブナー『ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する』

アッと驚く経済学。

 

石原千秋『大学生の論文執筆法』

内容的には文学部、社会学部辺り向けではあるが、それ以外でもためになる。

 

 

最後にこれまた言われすぎていることだが、やった後悔よりやらない後悔、何事も多少無理してでも挑戦したほうがいい

正直、今になって思えばあれはやりすぎだったな、あれはやらないほうが良かったといった後悔は皆無で、あの時頑張っておけばという後悔ばかりである。

これにはバイアスがあって、やっていないことにはうまくいくことを期待した後悔となってしまうため、やらない後悔の方を大きく思い返してしまうことがある。

しかしそれを差し引いても間違いなくやらない後悔が大きいと感じるのでやはりこのアドバイスは言わずには終われない。

トークバック 1 を読んだ

10点中8点

トークバック 1

トークバック 1

 

作曲少女作詞少女 の著者、仰木日向さんの小説。

作曲少女、作詞少女と同じような構図で、音楽をやっていこうとしている主人公にその何歩も何十歩も先をいっている同年代の女の子が教えてくれるといった話の流れだ。

 

ただ、前述の2作品と大きく異なるのは、主人公が男で、高校卒業した、20歳くらいのフリーターだということだ。(作曲少女と作詞少女の主人公は女子高生)

あまり違いはなさそうに感じるが、女子高生の主人公がダメダメでもそこまで気にせず読めるが、それがフリーターの男だと結構きついものがある。

 

もう一つ異なるのが、教えてくれる女の子も、まだ有名作曲家として成功しているわけではなく、プロの作曲家に弟子入りして、雑用をやりつつ勉強しているところだというところだ。

前述の2作品は主人公に天才女子高生が教えてくれるという構図自体は単純化しつつ、教えてくれる中身は本質的で、ためになることが多いと、評判だったが、やはりリアリティを求めるとすでにプロとして大活躍中でメディアからも引っ張りだこというのは現実味に欠けるということだろう。

しかし、常人離れしたストイックさの持ち主であることは間違いなく、プロの作曲家になるには、プロの作曲家に教えてもらうのが一番に違いないと思い、連絡を取りまくり、今の事務所へたどり着いている。

そしてその事務所で日中働いたあと、深夜のコンビニバイトで毎日働いている。

 

ストーリーは、作曲家目指して活動しつつ、コンビニバイトしている主人公が同じバイト先の作曲事務所でアシスタントしている女の子と知り合い、第一印象最悪で、軽蔑されながらも、色々と教えてもらいながら、成長していくという流れだ。

 

この著者の作品を読むのが3作目かつ、少しワンパターンなところがあるので正直先の展開が読めてしまったりするが、女の子の発言が中二病臭さがありながらも、自分にもぐっさり突き刺さるようなするどい発言が色々と考えさせてくれるいい作品だと感じた。

 

タイトルにも1と入っている通り、本書では完結しておらず、続きがまだまだあるようで早く読みたい。

ただ、自分が追っているほかの作品で、売り上げ等の原因で続きが出せるか危ういという話を聞いたものがあり、それもあって自分の中では少し優先順位を上げてブログを書いた。

本書がそういった状況にあるのかは全く知らないが、そういう状況にだけはならないことを願い、応援したい。

 

こんな弱小ブログでは何の影響力もないだろうが、全然別の人が2、3人進めているのを見て、これは確かに良さそうだと気になって買ったりすることが自分はあるので、どれだけ小さくても、意味はあるんじゃないかと思いたい。

複数の師を見つける

人の成長速度を上げ、かつリスクも下げる方法として私が真っ先に考え付くのがタイトルにある複数の師を見つけることだ。


ほとんどの人は意識的にしろ、無意識的にしろやっていることだが。

一つ重要なのは一人だけではいけないということだ。

例外的に、誰かに本当に弟子入りし、カバン持ちから何から何までやって少しでも吸収したいというときは難しいだろうが。
しかし、そんな場合ですら、多少なりともそのライバル筋にあたる人のことを勉強してみることが、その二人の考え方の違いを明らかにし、効率的に吸収できる可能性がある。

そのような弟子入りしたわけでもない、学校の先生や、親がいくら尊敬できようとも、その一人だけから学ぶのはかなり危険である。

大きく偏っていたり、他と比べて実は大したことのない人でも、一人に盲目的になってしまうと、見えなくなってしまう。

 

勿論、そのような尊敬できる、ベンチマーク足りうる、先生、親、先輩、上司、同僚、同級生がいるのは非常に恵まれていることである。

 

しかし、最低でも3人の尊敬できる人、そしてできれば2人以上は著名人(過去の偉人、思想家、ビジネスマン、評論家、アーティスト、芸人、アイドル他何でも構わない)で尊敬できる人を作ることが、良いと考えている。

 

簡単なのが、著作があったり、ブログやSNSで発信している人だと、見つけやすく、また、その人の考えをインプットしやすい。

 

このように書くと、反論が考えられる。
誰が言ったかではなく、何を言ったかが重要だ、人で判断してはいけないという反論だ。
これは確かに正しい。
しかし、TwitterFacebookmastodonやブログ、Youtube等で何百万何千万の人が発信している情報をすべて吟味している時間など全くない。

 

何かで重みづけして、優先的に情報収集する判断基準が必要だ。
となると、やはり発信者は重要なファクターだろう。
最初にそういった人を見つける際には、地位や名声といった色眼鏡をできる限り外し、自分が尊敬に値する発信を行っているか、を厳しく見る必要がある。
そして定期的にそれを見直す必要がある。
しかし、その間はそういった人たちの情報発信を優先的に得ることで、効率的に価値ある情報を得られる可能性が高まるだろう。

 

 

ということを私が尊敬する人の一人としていた、瀧本哲史さんの訃報を知って思い起こさせられた。

全ての著作が私にとって名著であるが、中でも老若男女誰にでも強くお勧めできる「ミライの授業」は過去の偉人の例から、コモディティではなく、スペシャリティになるヒントを与えてくれる。 

ミライの授業

ミライの授業

 

 


師を選ぶことは重要であり、かつ難しい。かつて師として尊敬していたことが黒歴史となることもままある。

しかし、それも含めて自分であり、振り返らなくては成長はない。

 

今の自分の師を順不同かつ敬称略で書き起こして、本ブログの終わりとしたい。

 

学び一般
瀧本哲史、読書猿、石原千秋
哲学
永井均、千葉雅也、野谷茂樹
エンジニア
宮川達彦、森田創、奥一穂、結城浩
音楽
涼平(exメガマソ)、ユウ(チリヌルヲワカ)、仰木日向
投資
ジェレミー・シーゲル、一族エキゾ
漫画
石黒正数岩明均、久井諒子

こうしてみるといかに自分が過去にも世界にも掘り下げられてないかが浮き彫りになってしまう。。。

株式投資の未来 読書メモ part1

 

株式投資の未来?永続する会社が本当の利益をもたらす

株式投資の未来?永続する会社が本当の利益をもたらす

 

 

少し株式投資を始めようと思い、参考書籍を探していると本書が名著として評価されていることが分かった。
読み始めているのだが、結構分厚く、僕の嫌いなハードカバーで知識もほとんどないので、読了までかなり時間がかかりそうだ。
これまでとは少し変えて、断片的な読書メモを書いていこうと思う。

 

初刷の発行が2005年で翻訳本なので2002~2004年ごろに書かれたと推測する。その頃の内容だということは頭に入れなくてはならないが、未だに評価されている本であることも間違いない。


序文~第一章 「成長の罠」
詳しくわからないが、短期の売買や最新のハイテク株への投資を批判しているよう。長期投資を進めている。


そして1950年から2003年までにアメリカの株市場がどのように推移したかの分析が始まる。

 

1950年にタイムトラベルできたとして、スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージーIBMのどちらに投資をするかという質問が投げかけられる。


スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージーは石油関係の1800年代からの超大企業だ。
IBMは1950年代ごろにコンピュータを開発し、1960年~1980年ごろまでハイテク業界で独占に近い状況で成長し、それ以降落ち目もあったが切り抜けて成長している。
IBMの方が1株当たり売上高でも1株当たり配当でも1株当たり利益でも1950年~2003年の間で大きく上回っている。
しかし、投資の利回りではスタンダード・オイル・オブ・ニュージャージーが上回っている。
年率14.42%と13.83%でどちらも超優秀銘柄かつ字面だけではあまり差がないように見えるが、53年間で24%IBMが下回っている。
その理由として挙げられているのがバリュエーション(株価評価)を示す指標だと言う。
大きな要因は配当利回りがスタンダードオイルの方が高く、配当の再投資でリターンが大きくなっている。


このような傾向は先の例だけではなく、1950年のアメリカ大企業上位50社で投資のリターンが最も大きかった上位4社は食品企業、タバコ企業、石油企業、清涼飲料水企業の4社であり、いずれも新しい産業ではない。

 

長期の運用成績と相関が強いもの配当利回りの高さPERの低さでありIPO銘柄の長期投資成績はひどいありさまである。

 

高齢化が進む中、経済に悲観的な観測が色々とあるが、著者は世界経済はむしろより成長していくと予測している。そして、中国、インド、その他アジア諸国がどんどんと成長していく。しかし、成長の罠はここにも適用されるので、成長するからといって、投資のリターンがそれだけあるかというとそうではないと著者は言う。

Think clearlyを読んだ

10点中8点

 

Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法

Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法

 

 
何となく印象的な見た目の本で、書店で手に取って読んでみたが、はじめにを読んでこれは良書だろうと思って購入した。

 

はじめにを簡単にまとめると、以下のようになるだろう。
良い人生とは何か、どうすればよい人生が送れるかは古今東西様々な人が考えてきたが、一向に答えは見つからない。そのような唯一絶対の答えなどはない。ただ、それでも可能性を高めてくれる「思考の道具箱」を持つことが必要だ。

 

この「思考の道具箱」という言葉は私が敬愛してやまない読書猿ブログでブログの一カテゴリーとなっているものと等しい。やはりどんな時でも絶対にうまくいく唯一のやり方は存在しないが、一方でその時々で使える引き出しを蓄えておくことが重要ということだろう。

色々な道具箱の中でも人生のあらゆる場面でついてくる思考について古典哲学や心理学や投資家の思考法から抽出した道具箱を紹介するといった内容だ。
中にはよくある自己啓発書のように論拠が薄い話も一部あるし、52個もの道具箱ということで似たような話や響かない話もあったが、多くは考えさせられ確かに一理ある思考法が紹介されていた。

 

印象に残ったものをかいつまんで紹介したいと思う。

 

1. 「思考の飽和点」に気を付ける
「思考の飽和点」とは、それ以上思い悩んでも一歩も先へ進めない状態へ到達することだ。物事について考えることはもちろん効果的だが、その効果はどんどん逓減していき、飽和点へは意外とすぐ到達すると書かれている。しかし行動に移すより考えることのほうが簡単なので、多くの人は飽和点に近いもしくは達していても、行動に移せず考え続けてしまう。私もまさに考えてばかりで実行できない人間なので耳が痛いし、すぐにやめることはできないが、定期的にこの教えを振り返って気を付けるようにするだけでも多少は効果があるだろう。

 

2.選択肢が多い場合は「秘書問題」が効果的
秘書問題とは本書によると、100人から1人面接で選ぶ(1人ずつ面接し、その場でその人の合否を決める必要がある)場合、37人までは必ず不合格にし、その37人の中で一番良かった人を超える人が来た際、決定すると最も良い人を選択できる可能性が高いという理論だ。
多くの人は最適なタイミングより早すぎるタイミングで決定してしまうらしい。たくさんの選択肢を吟味する心理的・物理的労力に負けてしまうためだ。重要でない選択ならそれでも良いが、重要な選択はできるだけ多くの選択肢にチャレンジし、吟味するほうが良いという話だ。

 

3.「ピーク・エンドの法則」に気を付ける
「ピーク・エンドの法則」はノーベル経済学者のダニエル・カーネマンが発見した法則で、ある体験の満足度の記憶はそのピーク(最高か最悪の体験)とエンド(最後の体験)だけでほとんど決まってしまうという理論だ。
また、「持続の軽視」と呼ばれる、同じくらい楽しかった(辛かった)体験が一週間だったか三週間だったかは満足度の記憶ではほとんど考慮されないという理論も紹介されている。
本書ではこれらの錯覚に騙されて過去の記憶を重要視するのでなく、現在に集中しようと説く。それも重要だが、マーケティングやコンテンツ制作では人々のこういった錯覚を利用して効果を上げることもできるかもしれない(少し悪い気もするが)。

 

4.性急に意見を述べるのをやめる
最低賃金は引き上げられるべきか?難民は引き受けるべきか?新卒一括採用はやめるべきか?
多くの人がこれらの問いにすぐに答えられる。人間には直感に基づく意見をすぐに発信したがる傾向にある。
しかしこのような問題は本来、考慮すべき事柄が多く、思い付きや受け売りでない意見を言うにはしっかりと吟味する必要がある。一度直感で答えを出してしまうと、後付けでその答えを正当化しようとするバイアスが働いてしまい、正しく検討することを妨げてしまう。
専門でもなく関心も薄い、複雑な問題に意見を発信したくなっても、ちゃんと考えたことがないからわからないと、思いとどまった方が良いことが多いだろう。

 

5.フォーカスを絞り、専門分野を持つ
石器時代の人々は火おこしから、狩猟から、周辺の生物の生態までほぼすべての人が会得していただろう、そうでないものは死に絶えただろう。
しかし、高度に細分化された現代社会で、あらゆる職種の専門知識やスキルを会得するなど不可能だ。むしろ多くのことをそれなりできる人の価値は減り続けている。
しかし我々は今でも、多才であることにあこがれ、専門外のことを知らない、できないことを恐れてしまう傾向にある。できないこと、やらないことはさっぱり捨ててしまい、伸ばすべきものに集中し、突き抜ける努力をしなければならない。

エンジニアの知的生産術を読んだ

10点中8点

 
エンジニアだけが読むのではもったいない一冊。


第1章 新しいことを学ぶには
この章では学ぶコツがいくつか解説されている。
特に面白いと思ったのは写経についてと抽象化についてだ。
写経は学習効率は悪いが何もわからないものへのとっかかりには効果的。
本物の写経とは異なり、色々と考えながら写経することがポイント(考えたことをコメントに残すとよい)。
抽象化が必要な理由は、仕事でも仕事外でも起こる出来事すべてへの対応を一問一答形式で覚えておくことなどできるはずがなく、抽象化された一般的な知識をそれぞれに当てはめて対応する必要があるからだ。
個々の知識から抽象的な知識を取り出す効果的な方法として挙げられているのが、比較することだ。
ある知識を得たときに、それと似たものを考える。
そして具体的に何が似ているのか、共通点を考える。
何が違うのか、相違点を考える。
なぜ違うのか、違っているようでいて本質は同じなのかと深堀する。
似ているものが思いつかない時の一つの作戦として過去と比較し、過去との共通点、相違点を考えるというのがある。

 

第2章 やる気を出すには
この章では集中してタスクをこなすコツが解説されている。
基本的にはGTDポモドーロテクニックを使おうというもので、テクニック自体は自分知っていたのであまり目新しさはなかったが、タスクの優先順の考え方や、何よりも計測が重要ということが学びになった。
GTDポモドーロテクニックポッドキャストのrebuildの過去回でも詳しく話されていて、個人的にはポッドキャストのほうが記憶に残るのでリンクしておく。

Productivity Extremist (higepon)

 

第3章 記憶を鍛えるには
この章は特にためになった。
Ankiという暗記を効率的に行うソフトウェアがあり、私も存在は知っていたが、どのように使えばいいかいまいちわからず、やらずじまいになっていた。
この章では問題をできるだけ細かくわけるとよい、文章の穴埋め問題も効果的だ、ということを学び、活用するイメージが湧いた。

この章で紹介されている知識を構造化する20のルールの日本語訳を見つけたので下記にリンクする。
効果的な学習法: 知識を定式化する20個のルール (目次)

 

第4章 効率的に読むには
この章では、読むことにフォーカスして、効率的な方法を模索する。
効率的な読書と聞くと真っ先に頭に浮かぶのは速読だ、本書でももちろん言及されていて、速読の方法についても2つほど述べられている。しかし、当然ながら速度を上げると理解度は低下するので、必ずしも、効率的ではないと語られている。重要なのは読む目的やその本の周辺知識の自分の理解レベルに合わせて読む速度を変えることだ。ピンポイントで何かを知りたければ、目次を読んでその箇所だけ探して読めばいい。難しい哲学書を自分のものにしたければ、写経をしたり何度も何度も繰り返し読んだりする必要がある。

 

第5章 考えをまとめるには
この章では「発想法」で有名な川喜多二郎のKJ法を著者が自分流にアレンジを加えたものが具体例豊富に解説されている。
・レポートや企画書、プレゼンについて書きたいことを大きめの付箋100枚を目標にとにかく書き出していく
 あまり考えすぎずにどんどん書いていくことが重要。
・書き出した付箋を一覧し、関係のありそうなグループに分けていき、それぞれに表札をつくる
 既存のジャンル分けや階層的なグループ分けにせず、直感的に関係のありそうなものをグループにしていく。
・それらのグループを配置し、それぞれのグループの関係性を追記していく。グループ内の各付箋についても配置と関係を追記する
・文章化する

 

一回やって満足せず、繰り返すことが重要。

 

第6章 アイデアを思いつくには
イデアを思いつくをもう少し言い換えると、自分が、世間が、いままで考えていないことを考え出すことである。
非常に難しく、定型化もできない。
ただし、全く効率的な方法がないわけではなく、ここではいくつかのヒントが紹介されている。
ある関心領域に関して、どんどんと言語化していき、今まで言語化してこなかったものを言語化する。
そのために色々と本質的な質問をしてみたり、抽象的なイメージを絵にかいてみたり、似ているものに例えて分析してみたり、他者の視点を借りたりする。
今の常識から抜け出す、違和感を見つけ、深掘りし、新しい考えを見つけ出す。

 

第7章 何を学ぶか決めるには
何かを学び、卓越していくにはどうしたら良いかが語られる。
他人から学ぶのは自分一人で学ぶより、効率が良い、そのため他人から学ぶことを意識すると良い。
ただし、それだけだと価値は少ない。
誰か同僚が知っていることを自分も学んだとしても、その人の劣化でしかない。
例え全体の知識量では負けていたとしても、ほかの同僚が知らないことを知っていれば、その領域では自分が一番となる。
おすすめされているのが、なにかをある程度極める、そののち別の何かをある程度極める、そうすると一つでは一番でなくても、その二つをわかるのは自分だけという状況が作りやすく、価値が生まれる。
連続的に、何かを専門的に学ぶことが薦められている。

 

知的作業の様々なことを扱っており、脳科学などにもふれられているため、少し深掘りが足りないところもあるが、著者の試行錯誤の結果が分かりやすくまとめられている読む価値のある一冊だと思う。