10点中2点。
7冊目。
まさに自分のための本だとタイトルを見て思ったこととAmazonのレビューの平均点が高かったので購入。
はっきり言って外れだった。
やはり絶対数が少ないとレビューはあてにならないのだろう。
ちなみに参考にしたときは4件だった。
トンデモなことばかりだとか精神論ばかりといった本当に駄目な本というわけではない。
しかし、本当に口下手な人がこの本を読んでもあまり活かせることはないのではと感じた。
僕がこの本にタイトルを付けるなら、「落語と認知科学から学ぶ話しやすい空間の作り方」とでもなると思う。
初めの話は、どのようにして観客の反応を感じ取るか、そしてどのように観客に見せるとよいかを落語家を参考に研究する内容になっている。
おそらく、著者の問題意識として「一般の人の話でその2つをちゃんとできているのが少なく、そこをどうにかすれば劇的に良くなるのに」というのがあるのだと想像する。しかし、本当に口下手な人は明らかに観客に響いてないのが自分でわかるレベルだし、見せ方どうこうの前にやることが山積みだろう。
さらに、初歩的な内容から徐々に発展的な内容へという構成にもあまりなっていない。
これは著者が研究者だからだと想像する。その章のテーマと関係があるが、あまり本論とは関係がなくウンチクのような心理実験の話が章のど真ん中にあったりする。ある程度網羅的な構成になっており、段階的に学んでいくようにはなっていない。その網羅的というのもあくまである程度で、しっかり網羅されているわけでもないが。
その後発表等で話す中身の話へとテーマが移るが、いまいち私達の日々の会話や発表で効果的に活かせるような知識が見つけられない。抽象的すぎたり、やけに著者の具体的すぎる話だったりとしっかり自分で噛み砕いて活かせるところを探し出さないとほとんど使えないように感じた。
個々の認知科学の実験での発見の話は「へぇ~」と感心するものも少なくなかった。正直編集者がもっとちゃんとやっていればもう少し面白い本になったのではと思ってしまう。
スピーチが結構得意だが科学的な観点含めてもう少し理論的に学びたいという人や、会話に関する認知科学のトピックを学びたいと言う人には面白いかもしれない。
認知科学ということで前回取り上げた「学びとは何か」と重なっている内容があったことも僕に響かなかった原因の一つではあるだろう。
採点についてはリンクの記事に書いてあります。