かなり放置してしまった。
10点中9点。
9冊目。
このブログでも何度か言及した読書猿から書き下ろしの本が出版された。それが本書だ。
readingmonkey.blog45.fc2.com
上記記事が元ネタとなっているが、ブログの方は数撃ちゃ何か引っかる、引っかかったらそれをヒントとして、深めるところは自分で調べてくれという感じを受ける。
別に悪い意味ではなく「数撃ちゃ当たる」はものすごく効果的な手法だし、ブログでこれ以上詳細に書くととても読み切れるものではなくなってしまう。
それに対し、本書はまさにアイデア発想法の百科事典。それも実際に活かせるように工夫された百科事典になっている。
ブログからもう少し絞った42の手法を大きく2つに、「0から1へ」と「1から複数へ」に分類し、さらにもう少し細かく11の章へと分類している。
そして各手法について、名称、難易度、開発者、参考文献、用途と用例、レシピ(手順)、サンプル、レビューという構成で3ページから10ページくらいで記述されている。
サンプルには複数の具体例があることも多く、レビューで手法が生まれた背景や他の手法との関連も解説されている。
感想
この本は企画職やクリエイター等アイデアを常に求めている人には勿論、ためになると思う。
しかし、本記事のタイトルにも書いたようにそういうのとはあまり関係のない人こそ読むべき本だと感じた。
なんだかんだで企画職やクリエイターの人は本書の手法に似た手法の一つや二つはやっていると思う。もちろんすべての手法を知っていてここまで整理できている人は皆無なはずなので、本書はめちゃくちゃ役に立つと思う。
しかし僕はそういうわけではない。
企画職等でもないし、何かアイデアを絞り出したいみたいな意識はほとんど無かった。
正直元になったブログも敬愛する読書猿の中であまり印象に残っている記事ではなく、本書を出すと知ったときも、本を出すのはうれしいが、別のテーマが良かったと思った。
ところが、ある程度読み進めていくとまず感じるのは、手法の開発者たちはここまでしてアイデアを考えているのか、という熱量だ。どの手法も徹底的に思考する中で生まれている。そういう話が次から次へと出てくるので自分がその立場だったらどう考えるだろうとついつい思考してしまう。そしてそれに引きずられて自分が普段なんとなく気になっていることについても思考が巡っていく。
さらに、紹介されている手法が確かに面白く、レシピ(手順)が簡潔に書かれているので読みながらなんとなくやってみて、また思考させられる。
このようにして僕は読むだけで半強制的に色々と考えさせられた。
勿論読んだあと、特に気に入った手法を日々実践するというのが実生活で一番効果が出るだろう。
ただ、読むだけで色々と考えさせてくれる本書を定期的に読み返すだけでも十分に効果があるのではと感じた。
僕と同じように、アイデア本を読んでまでアイデアをひねり出すことに関心がない人や、実際パラパラと読んでみてあまり自分には必要ないなと感じた人にこそ読んでほしい。
普段そこまで突き詰めて思考していない人のほうが、本書でむりやり思考させられると得られる気づきがあるはずだからだ。
本書は読書猿ファン待望の活字本ということと内容の良さで相当売れ筋がいいようで、早くも2冊目の話が見えてきている感じがする。
この記事の途中でも書かれているが、本書は絶対に求めている人がいるのになんでこういう本がほとんどないんだという思いから書かれている。
とてもいいことだと思う。
ただ、読書猿ファンとしてやはり一番読みたいのは、「知的トレーニングの技術(読書猿ver)」だ。
タイトルはさておき、類書にも良書が五万とあるが、それでもくるぶしさんが書く直球ストレートな学習本をいつか読めることを期待する。
読書は何冊かしているのだが、忙しいこともあってブログに書けていない。
読んだ本を思い出すための備忘録なので読んだらすぐ書きたいのだが、とにかく筆が進まず時間と気合が必要になっている。
何とか自分の中のハードルを下げる手立てを見つけたい。
本当は読んだ順に書いていきたのだが、この本だけは早いうちに書いておきたいということで書いた。
採点についてはリンクの記事に書いてあります。